こんばんは、クスノキです。あるとき自作PCに関する情報を調べているとサジェストワードに「自作PC やめとけ」とか「自作PC メリットがない」というような自作PCにネガティブなワードが並んでいることを見つけました。
筆者はPCを自作するようになって10年以上経つのですが、自作PCはやめとけという声はこれまでにも何度か聞いてきました。その意味するところは人によるので真意はわかりかねますが、自作PCという趣味や取り組みに対してネガティブな言葉が並ぶことは、自作PC経験者としても理解できる点があります。
同時に自作PCの良さも感じているので今回は自作PCはやめとけ、メリットがないという声に対して筆者の思うことをまとめます。
2025年4月におすすめのゲーミングPC
製品名 | ![]() MDL_T5746 | ![]() NEO5778 | ![]() NEO5898X3D |
---|---|---|---|
CPU | Ryzen 7 5700X | Ryzen 7 7800X3D | Ryzen 7 9800X3D |
GPU | RTX 4060 | RTX 5070 | RTX 5080 |
性能目安 | ✕4K/60FPS △WQHD/60FPS ◯フルHD/144FPS ◯フルHD/60FPS | ✕4K/60FPS △WQHD/60FPS ◯フルHD/144FPS ◯フルHD/60FPS | ◯4K/60FPS ◯WQHD/60FPS ◯フルHD/144FPS |
公式ページ | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
◯:設定を落とさず実現可能
△:設定を落とすことで実現可能
✕:実現不可
目次
自作PCが「やめとけ」「メリットがない」と言われる理由
なぜ自作PCが「やめとけ」と言われたり「メリットがない」と言われるのか。思いつく点をまとめます。
自作PCとBTOの価格差があまりない(2025年は自作に旨味あり)
真っ先に思いつくのは価格優位性が以前と比べると薄くなったという点でしょうか。
PCを購入するときに自分で自作するかBTOで構成だけ選んで購入するかの2パターンあると思いますが、10年前と比べると円安に振れている今、同じ構成でPCを自作するのとBTOでは価格差があまりなくなっています。物によってはBTOの方が安く済むことさえあります。
2025年4月現在、為替が円高に触れていることやそれに伴うBTOメーカーの一斉値上げに伴い、自作PCの方が安く仕上げられる例が増えています。
多くの場合まだ自分でパーツを選んで自作するほうが安く済むことが多いですが、安く済んでも5万円前後で、手間やトラブル対応を考えると手間のほうが勝ってしまいます。そのことから大多数の方にはBTOの方がおすすめという論調が優位になっているのだろうと考えられます。
あくまでも一例ですが、具体例を3パターン挙げてみます。
約20万円のPCの場合
パーツ | 自作PC | NEXTGEAR JG-A7A7X |
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CPU | Ryzen 7 7700 | Ryzen 7 7700 |
CPUクーラー | CORSAIR iCUE H100i RGB ELITE | 水冷 240mm |
マザーボード | ASUS PRIME A620M-K-CSM | AMD A620 |
メモリ | Acer Predator Vesta II 32GB | DDR5-5200 16GB |
GPU | ASRock Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7700 XT |
SSD | Western Digital SN770 1TB | 1TB(NVMe Gen4x4) |
HDD | – | |
電源 | 玄人志向 80Plus GOLD 750W | 750W 80 PLUS BRONZE |
ケース | Cooler Master Elite 301 White Lite | microATX対応 |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home |
価格 | 214,707円 | 229,900円 |
約20万円のPCを購入する場合、今回の例だと自作PCの方が約15,000円安い結果になりました。今回選んだものよりも安いパーツはあるので値段にこだわればより自作PCの方が安く仕上がることはありそうです。
格安パーツを選んで安く仕上げることもできますが、それは表面的な価格が安く仕上がるだけで先々のことを考えるとむしろ割高になる気もします。そうなると保証に優れたBTOの方が良いとも言えそうです。それでも自作PCユーザーは好きなパーツを選べます。
約30万円のPCの場合
パーツ | 自作PC | G TUNE DG-A7A8X |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 9700X | Ryzen 7 9700X |
CPUクーラー | Cooler Master MasterLiquid 240L | 水冷 240mm |
マザーボード | ASUS PRIME A620M-K-CSM | A620 |
メモリ | Acer Predator Vesta II 32GB | DDR5-5600 32GB |
GPU | ASUS Radeon RX 7800 XT | Radeon RX 7800 XT |
SSD | Western Digital SN770 1TB | 1TB(NVMe Gen4) |
HDD | – | – |
電源 | 玄人志向 80Plus GOLD 750W | 750W 80PLUS BRONZE |
ケース | NZXT H5 Flow v2 White | |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home |
価格 | 235,938円 | 314,800円 |
約30万円のPCを購入する場合、今回の例だと自作PCの方が約78,000円安い結果になりました。
基本的にBTOメーカーのスペックと同じスペックのパーツを採用していますが、実際にはマザーボードはB650辺りを選びたいところです。
為替が円安に触れていた頃は自作PCの方が高くなる例がありましたが、2,025年現在の為替水準の場合自作PCを選ぶほうが価格優位性が認められます。もちろん、保証や故障時の対応が面倒である点には留意が必要です。
約60万円のPCの場合
パーツ | 自作PC | G-GEAR GE9A-T251/XBH |
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CPU | Ryzen 9 9950X3D | Ryzen 9 9950X3D |
CPUクーラー | MSI MAG CORELIQUID M360 | 水冷240mm |
マザーボード | ASRock X870E Nova WiFi | X870E |
メモリ | Acer Predator Vesta II 32GB | DDR5-5600 32GB |
GPU | ASUS TUF Gaming GeForce RTX 5080 | RTX 5080 |
SSD | WD SN770 2TB | 1TB Gen4x4 |
HDD | – | – |
電源 | 玄人志向 80Plus GOLD 850W | 850W 80 PLUS GOLD |
ケース | Fractal Design Pop XL Air RGB White | ミドルタワー |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home |
価格 | 689,739円 | 584,700円 |
約60万円のPCを購入する場合、今回の例だとBTOの方が約10万円安い結果になりました。RTX 50世代の在庫状況が安定しないため価格が高騰していることが理由として挙げられます。
他にもCPUクーラーが自作PCは360mm、BTOは240mmと異なります。これは360mmの方が安心できるだろうと判断してのことです。
上に3つ上げた構成パターンの場合、2つは自作PCの方が安く、1つはBTOの方が安いという結果でした。実際にはどのパーツを選ぶか、そして”いつ”選ぶかによってお得度は変わります。通常、円高のときのほうが自作PCは安く仕上げられる傾向にあります。
BTOは金利0で分割払いができる
加えてBTOメーカーは金利0でPCを購入できるキャンペーンを開催していることが多いです。数十万円を一括で支払うのはなかなか大変です。
自作PCの場合は各パーツを通販で買うでしょうから、基本は一括払い、分割払いは金利が発生します。キャンペーン期間であればその限りではありません。
例えば30万円のPCを金利0で24回払いにした場合、月々の負担額は12,500円です。一括で数十万円の買い物は厳しい、特に学生は重宝できるキャンペーンと言えるでしょう。
価格差が小さい上に金利0の分割対応、そこに手間やトラブル時のハードルを考えるとBTOに傾くのは当然と言えますし、筆者もそちらをおすすめします。
作る手間とハードルの高さ
自作PCにメリットがないと言われる次の理由は作る手間でしょう。
自作PCはパーツ選びと組み立てを自分でやる必要があります。一方で、BTOはスペックの見方さえ理解していればOKです。
パーツの選び方を理解して自分で好みのパーツを揃えたら今度はそれをケースの中に収めて組み立てます。これは慣れればさほど時間はかかりませんが、初心者の方はこの過程でパーツを壊してしまう、特にCPUのピンを折ってしまうミスがよく見られます。すぐ折れる割に折れたらアウトです。
故障ではないにしても、実際にPCを組み立ててみるとパーツがマザーボードに適切に挿さっていなかったり、ケーブルの繋ぎ忘れで正しく動作しなかったり。ケーブルを繋ぎ忘れてることを忘れて何かの故障だと原因特定に無駄に時間をかけることになったり。こういう例は枚挙にいとまがありません。
自作PCはとにかく手間が多い作業です。
パーツの選び方を覚えて、パーツを選び、組み立て方を覚えて、PCを組み立て、OSをインストールする。ここまでが自作PCを作るまでの手間です。続いては作った後の手間についてです。
トラブル発生時の原因究明の難しさ
言ってしまえば自作PCはガイドを見ながらであれば誰でも作ることができます。仮に悪戦苦闘の末、作ることができたとしてもPCは作った後に様々なトラブルが起きることも少なくありませんし、むしろ大変なのはそのときです。
BTOの場合、そういったトラブルが起きた場合は電話で相談したり、メーカーにPCを送って修理してもらったりできますが、自作PCの場合は少なくともどこに障害が起きているかまでは自分で特定する必要があります。障害箇所が特定できたらそのパーツの保証を利用して交換してもらうことができます。
複数のパーツから成るPCの故障箇所を即座に突き止めるのは初心者には無理です。わからないことをしらみつぶしに絞り込んでいく作業です。この作業は骨が折れます。知識と経験がついてくればある程度当たりをつけて検証することもできますが、厳密に検証するには検証用のパーツを用いて比べる必要があるので価格面で見てもとても万人におすすめできるものではなくなります。
筆者が知る限りそこまでしてPCを自作したいと思う方は多くないでしょう。
大変。手間。面倒くさい。
自作PCは「面倒や手間」を楽しむ趣味
こう書くと自作PCには良いところが何もないじゃないか!と言いたくなりますね。
実際、経済合理性や効率性を重視するならBTO選ぶのがベター。これが結論でしょう。お金も安いし、手間もかからない。保証も厚い。
では、自作PCの良さとは一体どこにあるのか。筆者は自作PCはキャンプと同じような位置づけの趣味なんだろうなと理解しています。つまり、そもそも面倒や手間を楽しむ趣味であるということ。
キャンプは一時ブームと言われ多くの方がトライしてみたものの定着せずブームは収束しました。これには”適正”があるからです。自作PCも楽しめるかどうかには”適正”があります。
自作PCの適性の有無はわからないことをわかっていくことを楽しめるかどうかにあります。言い換えると過程を楽しめるかどうかです。知的好奇心旺盛で、それをコンピューターや機器に向けられる人はきっと楽しめます。そうでない人はBTOの方がおすすめです。
それに自作PCは何も一から作る必要はないんだろうと思います。
BTOで買ってからパーツ交換を自分でする簡易自作もOK
自作PCかどうかは適正がありますし、価格、サポートの面から万人にはおすすめしづらい趣味であることは否めません。
とはいえ、好奇心はありながらもいきなり自作に手を出して滞りなく自作できるのかという不安がある方もいるはずです。そういう方は一度BTOで完成品を手元に置きましょう。
それで自分なりに勉強をして、どこかのタイミングでグラフィックボードやCPUクーラー等を交換してみると良いでしょう。
BTOメーカーによってはパーツを交換することで保証が受けられなくなりますが、保証期間が終了したあとであれば問題ありません。ちなみにマウスコンピューターはパーツを元の状態に戻しておけば保証が受けられます。詳しくはマウスコンピューターの標準製品保証規定をご確認ください。
次のような場合及び事項については、保証期間内であっても保証の適用外とします。なお、保証適用外の事由によって生じた製品の修理に関しては、理由の如何にかかわらず有償となります。
マウスコンピューター 標準製品保証規定
- (1) お客様又は第三者の故意、過失又は不適切な行為(分解・改造等)に起因して生じた故障又は損傷
- (10) 増設部品の接触不良、設定の誤り、改造、弊社サポートスタッフの指示によらないBIOSアップデート、オーバークロック等の動作を行ったことによる故障又は損傷
- (12) 製品の基幹構成部品(マザーボード、CPU、ケース、電源及びACアダプター等)が、工場出荷時もしくは販売店でのご購入時の構成と異なる場合
おわりに
自作PCが「やめとけ」「メリットがない」と言われ、後悔する趣味と言われる理由について筆者の考えをまとめました。同時に自作PCが楽しめる方はどういう人かという点についても解説しました。
筆者は自作PCを作り続けるでしょうしその楽しさを感じていますが、だからといって全ての方におすすめできる趣味ではなく、多くの方にとっておすすめできるのはBTOであるという考え方は今後も変わらないでしょう。
自作PCとBTO、どちらにするか迷っている方の参考になれば幸いです。