Intelの「K」CPUでオーバークロックしないのはもったいないのか解説

こんばんは、クスノキです。自作PCやBTOでPCを購入するときにCPUを選ぶと思います。Intel製CPUには「Intel Core i7-14700」というものや接尾辞にKの付く「Intel Core i7-14700K」のような製品があります。

KはそのCPUがオーバークロック可能かどうかを意味する接尾辞ですが、もし「Intel Core i7-14700K」のようにオーバークロック可能なCPUでもオーバークロックしない場合、損することがあるのか解説します。

2024年11月におすすめのゲーミングPC

製品名NEXTGEAR JG-A7G6TG-Tune DG-I7G7S
G-GEAR GE9A-X247/XBH
CPURyzen 7 7700i7-14700FRyzen 9 9950X
GPURTX 4060 TiRTX 4070 SUPERRTX 4080 SUPER
性能目安✕4K/60FPS
△WQHD/60FPS
◯フルHD/144FPS
◯フルHD/60FPS
✕4K/60FPS
◯WQHD/60FPS
△フルHD/144FPS
◯フルHD/60FPS
◯4K/60FPS
◯WQHD/60FPS
◯フルHD/144FPS
公式ページ詳細を見る  詳細を見る詳細を見る
※性能目安は負荷の重いサイバーパンク2077を基準とするもの
◯:設定を落とさず実現可能
△:設定を落とすことで実現可能
✕:実現不可

CPUの接尾辞の違いについて

まずはCPUの型番の見方についておさらいしておきましょう。Intel製CPUは「Core i7」のような旧世代のものと2024年よりデスクトップ向けに展開され始めた「Intel Core Ultra」と表記される新世代で見方が少し異なります。

Intel製CPUの型番の見方

CPUの型番(例)
  • Intel Core i7-14700K

Intel製CPUの命名規則は以下の通りです。

Intelメーカー名
Coreブランド名
i7グレード
14700世代性能(数字が大きいほど高性能)
KCPUの細かな特性

今回の例で言えば14700KのKの部分。この末尾にはそのCPUの細かな特性を表すアルファベットがつけられます。このアルファベットが意味するところは下記リストをご覧ください。

Kオーバークロック可能
F内蔵GPU非搭載(グラボ搭載必須)
KFオーバークロック可能&内蔵GPU非搭載(グラボ搭載必須)
S省電力
Tさらに省電力
UノートPC向け省電力
HノートPC向け
X最上級&オーバークロック可能

Intel Ultra世代の型番の見方

CPUの型番(例)
  • Intel Core Ultra 9 285K

Intelの新しいデスクトップ向けCPUはCore i7のような表記ではなく上記のように「Intel Core Ultra x xxx」のように表記されることになります。

Intel Core Ultraメーカー、ブランド名
9グレード
285世代性能(数字が大きいほど高性能)
KCPUの細かな特性

Intel Core Ultra世代は既に2世代目ですが、1世代目はデスクトップ向けには展開されてません。

AMD製CPUの型番の見方

CPUの型番(例)
  • AMD Ryzen 7 9700X

AMD製CPUの命名規則は以下の通りです。噂によるとこの命名規則は今後変更になるようです。

AMDメーカー名
Ryzenブランド名
7グレード
9700世代性能(数字が大きいほど高性能)
XCPUの細かな特性

9700の一番左の9は世代を表していますが第9世代という意味ではないので注意しましょう。

Ryzenの世代対応表
  • 3xxx&4xxx:第3世代
  • 5xxxx:第4世代
  • 7xxxx:第5世代
  • 9xxxx:第6世代

Intel製と最も違うのはAMDのRyzenシリーズは基本的に内蔵GPUが搭載されていません。末尾にGかS以外のモデルを搭載する場合はグラボも絶対に必要になります。

K付きとKなしの性能の違い

本題です。オーバークロックが可能なCPUなのにオーバークロックをしない人は「Intel Core i7-14700」を買ったほうが良いのか、「Intel Core i7-14700K」を買ったほうが良いのか。

CPU選びの基準はいくつかありますが、処理性能の面で見るとオーバークロックをしない場合でも「K」付きのほうが高性能です。

i7-14700i7-14700K
コア数2020
スレッド数2828
Pコア周波数2.10GHz (5.40GHz)3.40GHz (5.6GHz)
Eコア周波数1.50GHz (4.20GHz)2.5GHz (4.30GHz)
TDP65W125W
オーバークロックできないできる

2つのCPUを比較した場合コア数やスレッド数に違いはありませんが、クロック周波数が異なることがわかると思います。これはオーバークロックをしていない状態でも「K」付きのほうが処理性能が高いことを意味します。

i7-14700i7-14700K
マルチスレッド43,11253,263
シングルスレッド4,2434,475
CPU Benchmark – PASSMARK SOFTWARE

実際のベンチマークスコアを見てもやはりK付きの「Intel Core i7-14700K」の方が性能が高いことが確認できます。

つまり、Intelの「K」CPUだからといってオーバークロックしないのはもったいないわけではないということです。

オーバークロックするメリット・デメリット

CPUのオーバークロックによってどんなメリット・デメリットがあるのか解説します。

メリット

処理性能の向上

オーバークロックをすることでCPUのクロック周波数を上げることができるので処理性能を向上させることができます。

デメリット

保証

CPUのオーバークロックは製品に手を加えるような行為に当たるため、オーバークロックをすることでメーカー保証の対象外になります

そのためオーバークロックを行った結果やその後故障したとしてもメーカー保証やBTOメーカーの保証を受けることができなくなるデメリットがあります。

発熱

オーバークロックすることで処理性能を引き上げることができますが、同時に発熱や消費電力が増加します。CPUは安定的に冷却し続ける必要があるため、オーバークロックによってCPUクーラーが持つ性能以上の発熱が発生した場合に動作が不安定になったりサーマルスロットリングが発生する原因になります。

オーバークロックをする場合はCPUクーラーの性能に不足がないか気をつけるようにしましょう。

動作の安定性

オーバークロックはメーカーが想定している以上の性能を引き出す行為になるため、発熱量のコントロールが上手くできない場合などに動作が不安定になりクラッシュしたりフリーズする可能性があります。

消費電力の増加

オーバークロックによって周波数を高くすると消費電力が増加するので、結果として電気代への負担が生じます。

また、消費電力が増加することで電源ユニットの容量にも不足がないかどうかなどの配慮が必要になります。

オーバークロックするのに必要なマザーボードの選び方

もし購入するCPUでオーバークロックをしてみようと思う場合は、マザーボードもオーバークロック対応のものを購入する必要があります。

Intel製CPUをオーバークロックする場合

Intel製CPUでオーバークロックしたい場合、マザーボードは「Z」シリーズもしくは「X」シリーズを購入する必要があります。

HシリーズやBシリーズは安価ですがオーバークロックには対応していないので注意が必要です。

AMD製CPUをオーバークロックする場合

一方AMDのRyzen向けに発売されているマザーボードは「X」シリーズもしくは「B」シリーズを購入する必要があります。

Ryzen向けのマザボードは基本的にオーバークロックに対応していますが、安価なAシリーズだけは非対応なので注意が必要です。

詳細はマザーボードの選び方について解説している記事をご覧ください。

おわりに

オーバークロックできるCPUでオーバークロックしないのはもったいないのかについて解説しました。オーバークロックによるメリットもたしかにありますが、私としてはデメリットが大きすぎるように感じます。

また無印よりもK付きの方が素直に処理性能が高いので、オーバークロック可能なモデルであってもオーバークロックしなくて良いし、そういう人でもK付きを買う理由は十分にあると考えています。



クスノキ

クスノキ

調べても難しく書いてあることが多い自作PCに関する情報をわかりやすく、それでいて網羅度の高いコンテンツ作成を目指しています。レビューもおすすめです。

カテゴリー:
関連記事