PCを自作するときにCPUは性能を決める上で最も重要なパーツの一つです。CPUを選ぶときはマザーボードとの互換性を気にしなくてはなりません。
今回は「Ryzen 9 9950X」を搭載するときにおすすめのマザーボードとそもそもマザーボードはどう選べば良いのか解説します。
目次
Ryzen 9 9950Xの対応ソケットとチップセット
- 対応ソケット:AM5
- 対応チップセット:X870, X870E, B650, B650E, X670, X670E, A620
「Ryzen 9 9950X」の対応ソケットとチップセットは上記のとおりです。自作PCを作るときはマザーボードもこれに対応したものにしましょう。
マザーボードの選び方
マザーボードは基板です。CPUやグラボやメモリを挿すために必要なパーツです。家で例えるなら基礎部分。基礎の上に色々な材料が乗っかって家ができあがります。PCも同じイメージです。
マザーボードの選び方は様々。先にCPUを決めてからマザーボードを決める人が多いと思います。どういう順番で構成を決めていくかは作りたいPCの形によりますが、ここではマザーボードを選ぶ際の4つのポイントについて解説します。特にソケットとチップセットの選び方に注意しましょう。
大きさを選ぶ
マザーボードには主に4つのサイズ規格があります。
最も大きいものがE-ATXです。フルタワーやミドルタワーと呼ばれるPCケースではATXが採用されていることが多いです。ミニタワーにはMicro ATXがよく使われます。Mini ITXはさらに小さなケースに使われますが、ゲーミングPCの場合グラフィックボードを搭載するためのスペースが必要なので多くの場合ATXかMicro ATXのどちらかを選びます。E-ATXは一般的には販売されておらずサーバー向け製品に使用されることがほとんどです。
マザーボードのサイズとPCケースの対応サイズが一致している必要があるため、マザーボードが大きいのであればPCケースも大きくなります。これは将来の拡張性に余裕があることになるため、PC本体の大きさを気にしないのであればATXを選んでも良いでしょう。できれば小型でもしかすると持ち運びもするかもしれないという方はMicro ATXをおすすめします。
注意点として例えばマザーボードの大きさをATXにするなら購入するPCケースもATXに対応したものにしましょう。
ソケットを選ぶ
マザーボードを選ぶ上でソケットも無視できません。ソケットはCPUの裏側にあるマザーボードと触れる部分のギザギザの形です。この形がマザーボードとCPUで同じである必要があります。
例えばCPUの対応ソケットが「LGA1700」であれば、マザーボードも「LGA1700」のものにしてください。この形が違うとCPUを搭載することができません。
ソケット形状はCPUの世代が新しくなると変わることになる場合が多いです。
下記Intel製CPUとAMD製CPUの世代とソケットの対応表を参考にしてください。
Intel製のCPU ソケット チップセット 14世代 LGA1700 Z790 H770 B760 Z690 H670 B660 H610 13世代 LGA1700 Z790 H770 B760 Z690 H670 B660 H610 12世代 LGA1700 Z690 H670 B660 H610 10及び11世代 LGA1200 Z590 Z490 (BIOS更新で11世代もOK) H570 B560 H470 (BIOS更新で11世代もOK) H510 10世代 B460 H410 末尾に「X」が付く7~10世代まで LGA2066 X299 AMD製のCPU ソケット チップセット 6世代 AM5 X870, X870E B650, B650E X670, X670E A620 5世代 AM5 X670E X670 B650E B650 2~4世代 AM4 X570 3及び4世代 B550 (3世代はCPUにグラボが積まれていると不可) A520 (3世代はCPUにグラボが積まれていると不可) 1~4世代 X470 (BIOS更新で4世代もOK) B450 (BIOS更新で4世代もOK) 1~3世代 X370 (BIOS更新で3世代もOK) B350 (BIOS更新で3世代もOK) A320 (3世代はCPUにグラボが積まれていると不可)
チップセットを選ぶ
マザーボードの大きさとソケットを選んだら次はマザーボードの性能で最も重要になるチップセットを選びましょう。おそらく多くの方が迷ってしまうのがチップセットによる違いでしょう。
まずどのチップセットから選ばなくてはならないのか。ソケットと同じようにやはりCPUの対応チップセットと合わせる必要があります。
例としてCPUが「Z790」にしか対応していないのであればマザーボードも「Z790」を選ばなくてはなりません。
チップセットにはいくつかの種類があり、その種類の中で世代による違いがあるということになります。Intel第14、13世代であれば「Z790」、12世代であれば「Z690」のようにZシリーズがあったり、Hシリーズもあります。それぞれの違いと特徴は以下のとおりです。
Intel製チップセットの見方 | |
---|---|
Xシリーズ | 「Core i0-00000X」などの末尾に「X」が付くCPU対応の超ハイスペックなモデル |
Zシリーズ | オーバークロックが可能でハイスペックなモデル |
H70シリーズ | 安価で性能も良いモデル(標準) |
Bシリーズ | コスト重視モデル(ビジネス向け) |
H10シリーズ | 一番安価なモデル |
AMD製チップセットの見方 | |
---|---|
X399以外のXシリーズ | ハイスペックモデル |
Bシリーズ | 安価で性能も良いモデル |
Aシリーズ | オーバークロック不可で安価なモデル |
チップセットによってマザーボードの値段が変わるのですが実際のところ何が違うのか。最も大事な点はCPUをオーバークロックするかどうかです。それによって選ぶチップセットが変わります。オーバークロックする予定があるならオーバークロックに対応したマザーボードを買いましょう。
オーバークロックしたい人が選ぶチップセット
Intel製CPUなら「Xシリーズ」もしくは「Zシリーズ」。よく選ばれるのはZシリーズです。
AMD製CPUなら「Xシリーズ」もしくは「Bシリーズ」。
オーバークロックしない人が選ぶチップセット
Intel製CPUなら「Hシリーズ」もしくは「Bシリーズ」、予算に余裕があるなら「Zシリーズ」です。
AMD製CPUなら「Bシリーズ」もしくは「Aシリーズ」です。
クスノキ
オーバークロック以外の差はあるの?
オーバークロック以外の差はストレージの拡張性やWi-Fiに対応しているか、端子の種類など、総じて利便性に違いがあります。
重要なポイントがあります。オーバークロックしてCPUの性能を引き上げた場合は別ですが、そうではない場合チップセットのグレードによってゲーム時の快適さが変わるわけではありません。
オーバークロックすれば性能は上がりますがオーバークロックしないのにわざわざ「Hシリーズ」じゃなくて「Zシリーズ」を選ぶ必要はありません。その差でゲームのパフォーマンスが変わるわけではありません。
細かい話ですがもしCPUをオーバークロックする予定があるならマザーボードのVRMフェーズ数という仕様が10以上のものを選ぶようにすると快適にオーバークロックができます。
その他の用途や拡張性を選ぶ
基本的な選び方は上述の3点で十分です。ただしマザーボードには最初からWi-Fiアンテナを内蔵しているものとしていないものなど細かなグレードの差が設けられています。マザーボードのRGB LED機能の有無などもここに当たります。
他にもPCを使う用途は様々です。作業的にThunderbolt 3ポートが必要だという人はThunderbolt 3ポートに対応したグレードのマザーボードを選ぶように気をつけましょう。
Ryzen 9 9950X対応のおすすめマザーボード
オーバークロック対応のマザーボード
「Ryzen 9 9950X」の場合、オーバークロックするのであれば「X870」もしくは「X670」のチップセットを搭載するマザーボードを選んでください。
標準モデルとなる「B650」も一応オーバークロックには対応しているのでオーバークロックをする明確な意志がないのであればBシリーズでも十分です。
コスパ重視のマザーボード
「Ryzen 9 9950X」を搭載するPCをコスト重視で自作する場合は「B650」を搭載するマザーボードを選ぶと良いでしょう。
おわりに
「Ryzen 9 9950X」の対応ソケットやチップセットを基に、マザーボードの選び方を紹介しました。
自作PCを作るときに必要なパーツについて別途まとめているので、気になる方はぜひご覧ください。